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2018/04/05
サイト公開。

偉人の睡眠嫌い

エジソンは睡眠嫌いだった

エジソンはもともと極度の睡眠ぎらいで、眠ることは怠惰につうじると確信していた。
そのため彼の支配する「帝国」には、睡眠をいやしむ思想が蔓延し、猛然と生産することと精力的にこれを消費することが美徳とされた。
とうぜんの帰結として、不夜城型の二四時間都市は、大量の夜型人間を生みだし、大半の市民を睡眠不足とさまざまな睡眠不満に追いこんでしまった。

そこでエジソン効果に対比させ、彼の睡眠破壊思想を「エジソンの呪い」と断言する研究者もいる。
現代がかかえる睡眠問題のすべてが、エジソンのせいだと決めつけるのも気の毒のように思えるが、私たちは二〇世紀になって多くの事例から、方向を誤ると文明が自己破壊を招くことを学んできた。
エジソンはあまりにも人間的であろうとしたために、非人間的な深みにはまってしまったのであろう。
不夜城は人間にやさしい環境のはずであったが、眠いのに眠れない「不眠城」となった。

日本人の猛烈ぶりは、手本とした欧米諸国よりも誠実に実行された。そのことは太平洋戦争に敗北し、第二の文明開化に着手した戦後の反省と努力にいっそう鮮明にあらわれている。
戦前以上に勤勉で怠惰を憎む異様な精神エネルギーを生みだした。「四当五落」という言葉をご存知だろうか。
五時間寝たものは受験に失敗し落ちる、睡眠時間を四時間に切りつめたものが栄冠に輝く、という激である。
感激してがんばった世代は定年を迎え、社会の中枢からすこしずつ減ってきてはいるが、まだまだ優勢である。
最近はさすがに色あせて耳にしないが、受験生にかぎらず国民的規模でせかせかと時間を切りつめて仕事に没頭する風潮は変わらない。
そればかりか過労死という悲惨な事態までが日本特有の現象として、世界のニュースになっている。
エジソンの呪いがもっとも明瞭にあらわれているのが、いまの日本ではないかとさえ思えてくる。

戦後の五〇年で急激に成熟した老齢国日本は、円熟期にありながら、あいかわらずガツガツとはたらく。
貧困の恐怖にかられて走りまわるのをやめ、ぐっすりと心ゆくまで安眠し、昼ごろにはゆったりとおやつを楽しむか、短い昼寝をとる心の余裕がほしいものである。
古代ローマから伝わるシエスタという昼休みは二時間も休む。これはわが国の歴史にはない長さである。
わが国にはもっと短い昼寝の習慣や、おやつ休憩があった。戦後のドサクサにまぎれて、昼寝もおやつ休憩もやめてしまった。
茶話会や座談会が影をひそめ、会話を楽しむ機会がめっきりと減ってしまった。ぜひ、復活したいものである。

一九九五年から三年間、厚生省の長寿科学総合研究費の補助を受けて、健康で意欲的な高齢者の睡眠習慣を調査と実験から研究することができた。
その結果、意欲的な高齢者ほど夜の睡眠が健康に保たれており、食後に三〇分ていどの昼寝をしていることがわかった。

実はエジソンは昼寝をしていた

「夜眠れなくなる」というような、これまで習ってきたことと、手許のデータがあまりにも食いちがうので、何度も分析をやりなおした。
どのように処理しても、前向き。なライフスタイルの人は、いいタイミングで適度な長さの昼寝をすることには変わりがない。
そこで、高齢者の望ましいライフスタイルに、昼寝の習慣を組みこむことを提案した。
一九九七年から科学技術庁の科学技術振興調整費の補助を受けて、日中のうっとうしい眠気や居眠り事故を防ぐための短時間仮眠法を、日勤者をモデルとして開発することができた。
その結果、昼休みに一五~二〇分の仮眠をとることによって、午後の生活の質(QOL)を飛躍的に改善できることがわかってきた。
現在もこの研究は続行中であるが、昼寝は高齢者だけでなくはたらきざかりにとっても有効であり、作業不安などストレス要因を軽減し、快適な覚醒をもたらすことはたしかなので、日本の風土にあった昼寝とおやつ休憩の復活を提案することにした。
技術的に詳細をつめなければならない点はあるが、日本式の新シエスタを実施するのはまもなくのことと確信している。

本書は、はじめ新シエスタにしぼって構成を考えたが、昼寝と夜の睡眠の関係を話題にするためには、睡眠に関する基礎知識を知っていただこう、昼寝のタイミングを考えるためには生物リズムも大切だ、
老人と子どもではどのようにちがうかなどと関連する話題をならべていくうちに、周辺の情報のほうが多くなってしまった。
そこで昼寝にかぎらず、快適睡眠をとるためには、どのような工夫が必要か、常識や経験の誤りをただし、新しい睡眠の見方・考え方を紹介し、私なりに解釈と評論をくわえることにした。

性格的にぼかし言葉が大好きな私が、わかりやすくするため、本書ではかなり強気に断言したりしている。
それでも、多くの研究の成果をきちんと反映するものとして書いたので、計測データの読み取りはすこしむずかしいかもしれない。
適当にとばし読みをしていただき、読者のみなさんにとっての快適睡眠の便利な参考書となれれば幸いである。

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